法律系の資格取得を目指す初学者にとって、小難しそうな法律の基本書や分厚い六法を前にして、何から学び始めたらよいのか迷うことがあります。
とりあえず、著名な法律学者の本を手に取って目を通してみたものの、難しい専門用語や法律特有の言い回しに内容が頭に入らず、数ページ捲っただけで挫折してしまうことも少なくありません。
また、法律系の資格試験のテキスト等は、イラストや図解等でわかりやすく解説されている書籍もありますが、資格試験に合格することが優先されているため、法律を理解するために前提となる知識は必要最小限に抑えられている印象を受けます。
そのため、暗記優先の知識を詰め込むための内容であることは否めず、法律の基本から理解するための書籍としては向いていません。
そこでおすすめしたい本が、法律入門書のベストセラー吉田利宏著「元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術」です。この本は、法律の勉強をするにあたって、初心者がつまずきやすいポイントについて、丁寧に解説されており、法律を基礎の基礎から学べる内容になっています。
まさに本のタイトル通り、法律を勉強するために必要な技術が余すことなく詰まった一冊「法律を読む技術・学ぶ技術」について、初心者におすすめする理由をわかりやすくお伝えします。
- 初心者が法律の勉強をする際につまずきやすいポイントを知りたい人
- 初心者向けの定番書籍「法律を読む技術・学ぶ技術」のおすすめ理由を知りたい人
- 法律系資格に挑戦する人に「法律を読む技術・学ぶ技術」が最適な理由を知りたい人
【法律の勉強】初心者がつまずく5つのポイント
「法律を読む技術・学ぶ技術」をご紹介する前に、まずは法律に初めて触れる人がつまずきやすい5つのポイントについてお伝えします。
法律の学び方がわからない
法律は義務教育でしっかり学ぶ機会がありません。子供の頃から馴染みのある学問ではないだけに、初学者は学び方がわからずに最初からつまずくことがあります。
どんな法律があって、どの法律から学んでいくべきなのかも、法律に触れる機会がない人にとってはイメージがつきにくいものです。
法律の基本書を読むべきなのか、六法全書の条文を全部暗記する必要性があるのか、それとも資格試験専門のテキストだけを読めばよいのか等、勉強を始める前から大きくつまずいてしまうことは珍しくありません。
専門用語の理解が難しい
どんな学問でも専門用語はありますが、そのなかでも法律の専門用語は理解することが難しい面があります。
法律に関する専門用語が多いことに加えて、使用される漢字や読み方が難しいのも特徴です。さらに、日常的に使用されている言葉が法律用語になると違う意味合いを持つ場合があるから厄介です。
例として、法律用語では「善意=知らない」、「悪意=知っている」という意味になり、日常的に使う道徳的な価値観とはまったく違う意味を持ちます。そのため、専門用語を正しく理解しないと法律を学ぶうえで大きな混乱を招くことになります。
法体系を知らない
法体系といってもピンとこないかもしれません。「憲法が一番上にあって…」くらいのことは理解していても、それぞれの法律の位置付けをしっかり把握している人は少ないはずです。
法律、政令、省令等、それぞれの関係性を理解していなければ、法律を読み解く上でのルールを知らないのと同じになります。
膨大に存在する法律、政令、省令等を闇雲に暗記しても、ルールを知らなければ法律の全体像を理解するのは困難です。法律の体系を知らないままで、法律の勉強を始めるのは、五十音順を知らないままで、国語の勉強を始めるようなもの。初心者が早々に法律の勉強につまずいてしまうのも無理はありません。
条文・判例を解読できない
法律が難しいと感じる理由の1つに、条文の文章が難しく解読しにくいことがあります。また、法律初学者にとっては「判例って何?」と思われる方もいるでしょう。
条文は法律特有の文章は言い回しにクセがあり、一度読んだ程度ではなかなか頭にインプットできません。そこへ法律的な判断基準の1つとなる判例まで理解しておく必要があります。
六法全書のように分厚い書物に細かい文字がビッシリ書かれているだけで、読む意欲がなくってしまう人も多いでしょう。法律を理解するために基本となる条文や判例を解読するハードルが高いことが「法律は難しい」と感じさせる最大の理由かもしれません。
法的思考力が備わっていない
法的思考力は「リーガルマインド」ともいわれ、最近では一般的な言葉としても知られるようになりました。端的にいえば「ルールに従って論理的かつ公正に判断する能力」です。しかし、多くの人が苦手意識をもっており、法律初学者も例外ではありません。
法律系の資格試験の多くには記述式問題がありますが選択式問題とは異なり、法的思考力が問われるため多くの受験生が苦戦します。
暗記して対応できる問題とは異なり、法的思考力はセンスを問われる面もあり「法律の勉強は自分には向いていない」と諦めてしまうケースもあります。
【法律の勉強】初心者向けならこの一冊「法律を読む技術・学ぶ技術」
これまで説明した法律を勉強する初心者がつまずく5つのポイントを踏まえて「法律を読む技術・学ぶ技術」のおすすめ理由をお伝えします。
法律の学び方から教えてくれる
第一章「ようこそ!法律の世界へ!」では、「どうして法律を学ぶの?」という問いかけからスタートします。法律を学ぶ意義は「リーガルマインドを養うこと」にあるとして、法律の読み解きをゲーム感覚で楽しく取り組むことで、リーガルマインドが作り上げられることを伝えています。
本書はその言葉通り、ゲーム感覚で楽しみながら法律を学べる工夫がされています。法律書といえば、小難しいわかりにくい表現が多いことが特徴の1つですが、日常会話するような語り口で法律の基礎の基礎を教えてくれます。
初心者にはとっつきにくく感じる法律の勉強も、本書を読了する頃には、自然とゲームをするように法律を読み解く感覚を覚えることができるようになるはずです。
専門用語の詳しい解説がある
法律の専門用語は難解な漢字が使用されているため読み方すらわからないことがあります。読み方がわからなければ、専門用語を調べることすら手間がかかります。本書はそんな初心者がつまずくポイントを押さえて、憲法、民法、刑法、行政法に分類して、主な専門用語の読み方から説明されています。
また、法律用語の公式と題して、法律を読み解く上で重要な以下の用語の違いについて詳しく解説しています。
◆法律用語の公式➀「基準点を示す用語」
・「以上」と「超える」、「以下」と「未満」
・「以前」と「前」、「以後」と「後」
・「~から~まで」
◆法律用語の公式➁「条文の構造を見抜く用語」
・「又は」と「若しくは」
・「及び」と「並びに」
◆法律用語の公式③「繰り返しを避ける用語」
・「適用」と「準用」
・「みなす」と「推定する
いずれの用語も日常でも良く目にする言葉です。しかし、なんとなく意味はわかっていても、明確にそれぞれの違いを理解している人は少ないのではないでしょうか。
本書は図表を用いながら、わかりやすく用語の違いについて解説がされているため、モヤモヤがスッキリ晴れて法律の理解が進みます。
法体系を基礎から学べる
法律の勉強をしたことがない多くの人は、政令、省令等も一括りにして「法律」として認識しているのではないでしょうか。
しかし厳密にいえば「法律」は国会を通して成立したものだけを指します。その下に内閣が定めた「政令」があり、政令より詳細な定めがあるものが「省令(内閣府令)」となります。
日常会話では、特に意識をする必要がなくても、法律を学ぶ上では上記のような法体系の理解は必要不可欠です。このような法体系のヒエラルキー構造を地方公共団体の「条例」「規則」等との関係性を含めて、本書では基礎から学ぶことができます。
条文・判例を読むコツがわかる
長くて細かい条文や判例を読むためにはコツが必要です。コツを知らないで、条文や判例を目にすると法律の迷路にハマってしまいます。本書はそんな条文や判例を読むコツを具体的な方法を示して解説しています。
以下は「法律の全体像をつかむコツ&図解術」として示されている方法の一部を紹介します。
- 目次から法律の規定の重要な部分を見抜く
- 要約文になっている1条を理解して全体像をつかむ
- 一部改正法の概要を知るために提案理由を見る
- ( )書きのある条文は( )を飛ばして読む
- ( )の深さに応じて( )書きに番号を振る
具体的な方法は、本書をご覧になってください。難解な条文もコツさえわかれば、スッキリ見えてくるようになります。
法的思考力が身に付く
法律を学ぶ意義として本書が掲げているリーガルマインド(法的思考力)が身に付くようになります。
資格試験のために法律を学ぶ場合、法律は暗記科目として認識している人が多いのではないでしょうか。私自身も行政書士を目指したのは「徹底的に暗記をすれば合格できる」という考えがあったからです。
しかし、法律は暗記だけで対応できるものではありません。試験問題を解くことはもちろん、試験合格後に開業を考えている人は、さらに法的思考力は欠かすことができないものになります。
本書は全編を通して、法律を暗記するのではなく「法律的な感覚や考え方」を教えてくれます。本書を読み終わる頃には、法律に対する見方が変わり法的思考力が身に付いていることに気付くはずです。
【「法律を読む技術・学ぶ技術」はこんなにすごい!】
法律関連書籍としては異例の累計部数17万部の売上げを誇る「法律を読む技術・学ぶ技術」。改訂を繰り返し、最新版は第4版(2023.7月現在)となっています。
関連本として「民法を読む技術・学ぶ技術」「法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方」も発売されており、人気の高さが窺えます。
初心者が法律を学ぶ定番書籍でもありながら、すでに法律を学んでいる人にもたくさんの「気づき」を与えてくれる1冊です。
「法律を読む技術・学ぶ技術」の口コミ・レビュー
本の人気や信頼性を裏付けるように、口コミやレビューも高評価となっています。Amazonや楽天のレビューも★4つ以上となっており、X(旧Twitter)でも本の内容を評価する声が多くあります。
法律系資格の中では、比較的初心者向けともいわれている行政書士の資格試験の勉強のために読んでいる人が目立ちます。
また、有名な資格講座の先生からの紹介をはじめ、法律を学んだ先輩からおすすめ本として紹介されたという口コミが多いのも特徴です。
まとめ:【法律の勉強】初心者向け「法律を読む技術・学ぶ技術」は資格挑戦する人に最適の一冊
何かを学ぶときに、目的があるのとないのとではモチベーションが違います。その意味で、初心者が法律を学ぶのであれば、資格挑戦は最適なモチベーションを上げる方法です。
本書を読むことがきっかけとなり、法律系資格に興味を持つ人や一度資格取得を諦めた人も再挑戦する意欲がわきます。
それだけ、本書は初心者が法律を学ぶ際につまずきやすいポイントをわかりやすく丁寧に解説してくれています。
法律を勉強する初心者がつまずく5つのポイントは以下のとおり。
- 法律の学び方がわからない
- 専門用語の理解が難しい
- 法体系を知らない
- 条文・判例を解読できない
- 法的思考力が備わっていない
いずれも単なる暗記では対応が難しいものです。その点、本書は「法律は暗記科目」という認識を払拭させ「法律的な感覚や考え方」を学ぶことができます。
法律系の資格挑戦する人には、記述問題対策はもちろん、本のタイトル通り「法律を読む技術・学ぶ技術」を教えてくれる最適の一冊です。